青い羽根を探して
第四章
暗闇の中で、知らない女性の声がする。
――これくらいで、諦めたりしないわよね?
貴方のミルクちゃんへの想いは、そんな弱いものじゃないでしょう?
うふふ、いつの時代にも、純情一途な青年っているものねぇ。
少しからかうような口調だが、悪意は感じられない。
声の主の姿は見えないが、クリフは、誰かがすぐそばにいるように感じた。
(貴女は、一体…?)
――女神よ。泉の女神様。貴方のことも、ちゃんと知ってるのよ。
(女神様…!)
驚くクリフに、女神はくすくすと笑いながら続ける。
――そうよ、クリフちゃん。ミルクちゃんのことが好きなんでしょう?
なら、これくらいで諦めちゃ駄目よ。
(で、でも、僕は、青い羽根も手に入れられなくて…。)
クリフが言葉を濁すと、女神は、諭すように口調を強めた。
――青い羽根が何? 大事なのは、そんな「モノ」じゃなくて、貴方の想いでしょう?
大丈夫、その想いは、きっと届くわ。
貴方に足りないのは、あと、ほんの少しの勇気だけ。
(勇気…。)
と、クリフの耳に、また別の声が飛び込んで来た。
「…リフ君、…クリフ君!」
よく知っている、可憐な声。
(…あの声は!)
――ほら、聞こえるでしょう? さて、私はもう行かなくちゃ。頑張るのよ、クリフ。
そうそう、ミルクちゃんは、私の大のお気に入りだからね。泣かせたりしたら、承知しないわよ?
だから、これは、私からのささやかな贈り物。うふふ、感謝してね。
その言葉が終わるや否や、クリフの体を風が通り抜けるような感触が襲い、目の前がぼんやりと明るくなった。
「クリフ君、大丈夫? しっかりして!」
体を強く揺すられ、目を開けると、目の前には、今にも泣き出しそうなミルクがいた。
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