12か月の物語
〜3月〜
町の人々が少しずつコートを脱ぐようになって来たある日。
サララとチョコが獣人族の森を訪れると、なんだか興奮した様子の<腹ぺこ猫娘>チャチャが出迎えました。
「サララ、サララ、春が来たニャ〜!」
サララが挨拶するよりも早く、チャチャはそんなことを言いました。
怪訝そうな顔で首をかしげるサララに、チャチャはうきうきと続けます。
「春告げ草が、芽を出したのニャ〜!」
春告げ草? とサララとチョコが顔を見合わせると、チャチャの仲間のグレイホーンがやって来て首を振りました。
「“春告げ草”というのは、チャチャが勝手に付けた名前だ。本当の名前は……」
「とにかく、来てみるニャ〜!」
チャチャはグレイホーンの言葉を途中で遮り、サララの腕を引っ張ります。
サララとチョコは訳がわからぬまま、チャチャの後について走り出しました。
* * *
「これニャ、これニャ〜!」
チャチャがそう言って指差したのは、芽を出したばかりのつくしでした。
「なんだ、つくしか」
チョコが、少し呆れたように呟きます。
「これが生えると、他の草も芽を出すし、花も咲き出すのニャ〜。 だから、春告げ草ニャ〜!」
胸を張って言うチャチャに、サララはにっこり微笑みます。
そして、大きく深呼吸をしてみました。
確かに、風も、お日様の光も、冬のものとは違うようです。
「うーん、確かに言われてみると、もう春みたいだね」
満足気に伸びをしながら、チョコが言います。サララは頷き、立ち上がりました。
季節が変わったからには、店の内装を変えたり、商品を入れ換えたりしなければなりません。
忙しくなります。
でも、その前に。
春の空気を、たっぷり吸ってから行くことにしましょうか。
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獣人族でほのぼの話。
ガル出せなかったよ、ごめんなさい。グレイホーンも一言だけだ…。
ところで、獣人達は肉食でしょうか。つくし、食べるのかなぁ?
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